エビガラスズメ

秋の農園を耕すと,土の中からいろいろな生き物が出て来ます。多いのはコガネムシの白い幼虫で,これは次作の根を食害しますから鍬で打って殺します。コガネムシの幼虫の捕食者であるムシヒキアブの幼虫が一緒に出て来ることもあります。食物連鎖。

時折,蛹が掘り起こされます。中に,「これはあれだ」,と一目でわかるやつがあります。ゼムクリップのようにクルッと巻いた細長い突起のある大きな蛹(写真1),エビガラスズメの蛹です。突起は口吻予定地。秋に拾った蛹が成虫になるのは翌年の初夏です(写真2)。

エビガラスズメの幼虫はサツマイモの食葉害虫として知られるイモムシです(写真3)。終齢になるとスズメガ仲間の例にもれず大型になって沢山食べます(写真4~7)。見ていると,噛む音が聞こえて来そうな勢いで葉が消えていきます(実際にはほぼ無音)。蛹が発掘されるということは,農園のサツマイモの葉も知らぬ間に消えていっているようです。

終齢幼虫の体色の変異は大きく,執筆者は茶色の個体しか見たことがないのですが,緑色の個体も中間タイプの個体も存在します。地面を這って生い茂るサツマイモの葉,緑でいるのも茶色になるのもどちらも敵に見つかりにくいのかもしれません。

サツマイモの葉を食べる虫にはエビガラスズメの他,イモキバガやオンブバッタがいます。これらはみな空芯菜の葉も食べます。サツマイモの葉で見かける虫に対しては割合心穏やかでいられますが,空芯菜上では害虫レベルがアップします。


写真1 10月中旬に掘り出されたエビガラスズメの蛹 触ると動きます。


写真2 エビガラスズメ成虫。海老柄です。写真1の蛹が翌年6/1に羽化。農園ではちょうどサツマイモ苗を植え付けたところでした。羽化直後につついてしまったためか結局翅が展開しませんでした。


写真3 サツマイモの葉で捕まえたイモムシ。尻尾の先端が黒い。エビガラスズメと推定していますが違うかもしれません。


写真4 空芯菜にいたイモムシ。前日には緑色の綺麗なイモムシだったのに夜間に脱皮してこうなった。尾角は短く上に凸。Na/Kの検量線の形。幼虫右上の空芯菜の葉は半分食べられてなくなっています。


写真5 まるくなるエビガラスズメ。写真4から2日後。明らかに大きくなりました。


写真6 まるくなるエビガラスズメその2。写真4から4日後。葉脈も残さず完食。空芯菜の蔓先4本分の葉が一晩ですっかり無くなっていました。


写真7 地下に潜伏する前日。写真4から5日後。変化の小さい頭部をサイズマーカーにすると、写真4に比べ体部が急成長したのがわかります。この日は終日葉を食べず、夜間に土中に潜っていきました。たまに土の中から物音がしています。

(写真1, 3は2016年,写真2は2017年,写真4-7は2018年撮影)